コラム

COLUMN

知覚過敏が起こるわけ

 

 

冷たいものでしびれる、熱いものがしみる、甘いものでピリッとする・・・

 

このような症状が1つでもあてはまれば、

知覚過敏の初期症状かもしれません。

 

どうして歯がしみるようになるのでしょう。

 

 

 

キーンとしみるその理由

 

歯を断面で見ると、中心に歯の神経があり、

それを覆うように象牙質とエナメル質があります。

 

歯の神経は、血管や神経から成っていて微細な管が無数に伸び、

その管を通って栄養が象牙質に送られていきます。

 

この管の内部は空洞ではなく、組織液で満たされています。

歯ぎしりでエナメル質の表面がすり減ったり、

歯周病や過度の歯みがきなどで歯ぐきが下がると、

いままで隠れていた象牙質がむき出しになり、象牙細管も露出します。

 

この露出した象牙細管が、知覚過敏(象牙質知覚過敏症)のおもな原因です。

 

 

 

冷たいものや甘いものがしみるわけ

 

露出した象牙細管は刺激の通り道となります。

管の穴からは、異物や細菌が内部に入ってこないように、

歯の神経から外側へと常に組織液がしみ出しています。

 

このとき、冷たい、熱いという刺激や、歯ブラシなどの物理的刺激、細菌などの

異物による刺激が加わると、象牙細管内の組織液の流れに変化が生じます。

 

これが歯の神経に伝わることで、痛みとして知覚される=知覚過敏となります。

 

また、砂糖のスクロースが象牙細管の近くに存在するときも、

糖の濃度勾配を相殺しようと、組織液の流れ出すスピードが速くなります。

 

これも痛みとして知覚されます。

 

 

 

しみるだけで甘く見ないで

 

歯がしみる症状は、知覚過敏のほか、むし歯や歯周病、歯のすり減りなど、

歯にトラブルが起きている兆候があるので注意が必要です。

 

たかが「しみるだけ」と軽視しないで、歯科医院にご相談してください。

 

 

 

知覚過敏の治療は時間がかかる?

 

 

意外に思えるかもしれませんが、歯がしみるという症状は「知覚過敏ですね」と

すぐに診断できるものではありません。

 

原因となる歯のトラブルが見つかった場合はそれぞれのトラブルの治療を行い、

知覚過敏の反応を抑える薬剤を、象牙質が露出している場所に塗布します。

 

それからまた様子を診て症状が改善しないなら、コーティング剤を塗布して、

露出した象牙細管を封鎖します。

このように効果が出るのか見定めながら治療を進めるために時間がかかるのです。

 

また、歯みがきも立派な治療です。知覚過敏の治療において、

食生活の改善と並んで歯みがきの「歯みがき剤の成分」が重要です。

 

1つ目は、おなじみの「フッ素」。

再石灰化を促進するフッ素の作用が、

象牙細管のなかに石灰化物を沈着させて層をつくり、管を少しずつ封鎖します。

1450ppmの高濃度フッ素がおすすめです。

 

2つ目は「硝酸カリウム」。

これは神経の反応=知覚を鈍麻する薬剤として、

知覚過敏治療の塗布剤としても使われている成分です。

 

これら2つが入った歯みがき剤をまずは使い続けてもらい、

症状が改善するかを診ていくことになります。

 

みがきかたとしては、できるだけ長い時間、

歯みがき剤がお口のなかにある状態をつくることが大切です。

 

最低3分は歯みがきをし、すすぎは1回にとどめましょう。

歯みがきに力が入っていて、歯や歯ぐきを傷めている人も多いですので、

歯科医院でみがきかたの指導も受けましょう。