国際アルツハイマー病協会の発表では、全世界における認知症の患者数は、2030 年に 7,600 万人、2050 年には 1 億 3,500 万人になると言われています。
そして慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室の佐渡充洋助教と厚生労働科学研究の共同研究グルー プは、認知症の社会的費用を推計し、年間約 14.5 兆円(医療費:1.9 兆円、介護費:6.4 兆円、インフォーマルケアコスト:6.2 兆円)に上る可能性があることを明らかになったそうです。
そこで現在、日本は医療費削減のために口腔ケアに力を入れるようになってきました。
アルツハイマー型認知症
図のように、認知症はほとんどアルツハイマー型認知症が占めています。
特にこのアルツハイマー型認知症に歯科が密接していると最近の研究で明らかになってきました。
アルツハイマー型認知症の成り立ち
まずアルツハイマー型認知症の原因となる物質「老人斑アミロイドβ―」が脳に溜まるとアルツハイマー型認知症は発症すると言われています。
その老人斑アミロイドβが口腔内のある物質と関係しており、その口腔内のある物質がこの老人斑アミロイドβを増やすことが明らかになってきました。
歯周病菌「Pg菌」と認知症
その口腔内のある物質というのが歯周病の原因である「Pg菌」なんです。
この「Pg菌」は歯周病の人には、ほぼ確実に検出される細菌ですが骨を溶かしたり、歯茎を膿んだりと、とても厄介な細菌です。
その菌が活動を始めると、歯周病だけではなく、老人斑アミロイドβが刺激されどんどん増えていくことが最近の研究で明らかになりました。
またそれだけではなく、「Pg菌」が老人斑アミロイドβを直接、脳内へ運んでいるということまで明かになりました。
どうやって脳に運ばれる?
歯周病の炎症によって、歯茎の粘膜の破れ目を入口として、血流にのり、全身に運ばれます。
なので、歯周病は全身疾患に関与していると証明されたのです。
皆さんは定期的に歯医者さんにいって、歯石を取ったり、歯のクリーニングをしたりしていますか?
歯周病は重度にならないと気付きにくく、まだ大丈夫かなと思いがちです。
しかし、その間も少しずつ歯周病は進行していきます。
日本人の20歳以上の約8割の方が歯周病に罹患していると言われており、病気ランキングでギネスにのる大病なのです。
たかが歯の病気だ!という考えは、もう昔の考えであり、今回の認知症を始め、全身に関係する危険な病気ということを知っていただければと思います。