現在日本は『超高齢社会』であるといわれています。
『超高齢社会』とは、WHO(世界保健機構)と国連の定義に基づき、国の総人口に対し65歳以上の人口(老年人口)が占める割合が21%を超える社会のことです。
2022年9月15日の統計では、老年人口の割合は29.1%で、その割合は増加傾向にあります。人は加齢に伴い、身体の各器官を構成している細胞数が減少し、細胞そのものの働きが低下していきます。この生理的老化によって、臓器機能の低下や恒常性機能の低下、病気の併存などの身体的特徴がみられます。
体力や抵抗力が弱っている高齢者の方や体が不自由な方にとって、口腔内の細菌は大敵です。
むし歯や歯周病が発生・悪化しやすいだけでなく、口腔内の細菌が原因で誤嚥性肺炎を引き起こしたり、血管障害、心臓病、糖尿病などの疾患を引き起こすリスクもあるのです。
このような病気のリスクを避けるためには、定期的な専門家による口腔チェックやケア、必要であれば治療を受けることが重要です。
「しっかり噛める」ということは、唾液の分泌を促進し、免疫機能の亢進や食物の消化作用亢進に役立つばかりか、認知症の進行を遅らせたり、その予防する効果も期待できます。
高齢者だけではなく、病気やケガなどで外出が困難な方や、身体が不自由であったり精神病などで外出が困難な方も、歯科の訪問診療を受けることができます。
一人で通院が困難であるならば年齢や要介護認定の有無など関係なく、受けることができます。
お口の中が健康だと、生活の質が向上します。
美味しい食事を気兼ねなく食べられたり、家族や友人と会話が弾むということは、生きる上で、大きな楽しみや喜びの源となるでしょう。
私たち歯科医療従事者の使命は、お口から安全に食べて頂くことの支援であると考え、受診者お一人お一人の尊厳の保持を大切にしたいと、日々努めております。
歯科訪問診療について、制度や内容をご存じでない方が、まだまだ多くいらっしゃいます。
かかりつけの歯科医院、地元の歯科医師会、ケアマネージャーや訪問看護師、病院の担当看護師、施設のケアマネージャー、地元の歯科医師会のホームページ、その他、行政でも相談窓口を設けているところがあります。
一番身近な方法で、ぜひお気軽にご相談ください。