歯を保護しているのは、人体の中で最も硬いハイドロキシアパタイトのエナメル質です。
はたしてどのくらい硬いのかというと、治療する時はダイアモンドの粒が装着されているバーじゃないと削れないほど硬いのです。
そんな硬いものに穴があくということは…
むし歯は、
1.歯があること
2.食べ物の残りかすがあること
3.口の中に細菌がいること
4.時間の経過
この4つの条件が満たされた時に発生します。
口の中の細菌とは、私たちの口の中にはたくさんの細菌がすみついていて、その中の数種類の細菌が酸を作って歯を溶かして穴を開けます。
虫歯菌が栄養源とするのは糖質です。
糖を分解してエネルギーとして、その時廃棄物として乳酸が出る為、口の中が酸性になってきます。
エナメル質のハイドロキシアパタイトはリン酸カルシウムで出来ており、酸にとても弱く口の中が酸性になると、リン酸イオンとカルシウムイオンになって溶けだしてしまいます。
これを脱灰といいます。
むし歯の進行は次の5段階に分けられます。
①むし歯の初期は、エナメル質に留まっていますが自覚症状がありません。
歯に穴はあいていませんが、白く濁って見えたり茶色に見えたりします。
フッ素などにより、再石灰化を促進させることで健康な歯に戻すことができます。
②歯の表面に穴があき、欠損がある状態です。
痛みやしみる感じは気づかない場合が多いです。
③エナメル質の内側は象牙質といい、歯の中心から表面に向かって放射状に枝分かれした神経が通っていて、ここで痛みや冷たいものがしみるようになります。
むし歯が歯の内部に広がり象牙質まで進んだ状態です。
④むし歯が歯髄(神経)まで進んでいる状態です。
激しい痛みを感じることが多く、放置すると神経が死んでしまいます。
⑤歯冠部(歯肉から上の部分)がほとんど崩壊し、歯根だけ残った状態です。
歯髄(神経)が死んでしまい、痛みがなくなる場合があります。
歯根の先に膿が溜まると激しい痛みが起こり全身の健康を害することにもなります。
保存治療は困難なため通常は歯を抜くことになります。
むし歯の予防方法・対処方法
むし歯を予防するには、
1 原因となるプラークをきちんと取り除くこと
2 歯の質を強くすること
3 飲食、特に砂糖の摂り方に注意することが基本です。
毎日セルフケアを実行し、歯科医院で定期健診を受けましょう。
①プラークを除去するために大切なこと
1. 丁寧な歯みがきを心がけましょう
2. むし歯になりやすい歯と歯の間は歯間清掃用具を使用しましょう
3. 歯みがき剤を使用してみがきましょう
②歯の質を強くするために大切なこと
フッ素(フッ化物)を上手に活用しましょう。
フッ素には歯の質を強くし、再石灰化(溶けたカルシウム分を再び歯に戻す作用)を促進し、細菌の働きを弱める働きがあります。フッ素の活用には次の方法があります。
年齢に合わせて複数を組み合わせて、むし歯を予防しましょう。
1. フッ素配合歯みがき剤を使う
2. 歯科医院でフッ素を塗布してもらう
3. フッ素洗口を行う
4.飲食、砂糖の摂り方
①「だらだら」の飲食は控えましょう
口の中は唾液の働きで中性に保たれていますが、食べたり飲んだりすると、酸性に傾きます。酸性の時間が長いとそれだけむし歯になりやすくなります。頻繁に糖分を摂る食べ方や飲み方には注意しましょう。
②「食べたらみがく」を心がけましょう
食事を摂ると、糖分を利用し細菌が酸を作ります。
食べたらみがくことを心がけましょう。
また、就寝中は唾液の出が少なくなるため、細菌が増え活発に活動します。就寝前は、丁寧な歯みがきを心がけましょう。
まとめ
むし歯にならない為の努力が必要不可欠となります。
歯磨きの道具やフッ素の取り入れ方については歯科医師や歯科衛生士にご相談ください。。
虫歯が進行して歯に穴が開いてしまった場合はその大きさや、神経まで達しているかどうかでいくつかの治療方法があり、小さいものであれば、患部を取って、白いつめ物をします。
小さな穴でも奥の方は広がっている場合が多いので、要注意です。
「まだ痛みも無いし大丈夫。」と思わずに、穴があいた部分があったらすぐに治療しましょう。