歯周病が口の中に悪影響を及ぼすことは理解できても、
命にかかわるような病気を患う引き金になる
という危機感を持っている方はまだ少ないでしょう。
歯周病菌や歯周病の炎症によって、
生成された物質が血液の流れに乗って体の隅々まで運ばれ、
重大な全身疾患の原因の一つになったり、
重症化のリスクを高めることが最近の研究によって分かってきました。
様々な全身の病気の治療のためにも、歯周病を防ぐことは必要です。
◇特に関連が認められる全身疾患とは
歯周病の本当の怖さは歯を失うことだけだと考えていませんか?
本当の怖さとはその影響が全身に及ぶことです。
関連が認められるのは・・・
・糖尿病
・心筋梗塞
・脳梗塞
・誤嚥性肺炎
・早産
・低体重児出産
・メタボリックシンドローム
などが挙げられます。
それだけでなく歯周病で歯を失う事は認知症の発症にも深く関与しています。
◇「糖尿病」と歯周病
特に歯周病との関連が指摘されてる病気は糖尿病です。
それには2つの理由があります。
①糖尿病の人は健康な人より
2倍以上も歯周病にかかりやすく悪化もしやすい。
②歯周病にかかっていると
血糖値が下がりにくく、糖尿病を重症化させる。
糖尿病になると血糖値が異常に高くなります。
それだけではなく血管障害が発生し
歯肉の毛細血管を脆くして炎症を悪化させます。
また糖尿病は全身の免疫力を低下させるので
歯周病菌の増殖を抑えることができず、更には唾液の分泌減少するため
口腔内の自浄作用も低下し歯周病は余計に悪化します。
こうしたことから、歯周病は糖尿病の6番目の合併症といわれています。
◇脳血管障害と歯周病
歯周病菌が進行すると脳の血管で血栓や動脈硬化が発生し、
脳梗塞や脳出血のリスクが高まります。
いずれも脳を障害することから麻痺や
しびれなどの神経障害を引き起こし命を奪うこともあります。
命をとりとめたとしても後遺症が残り深刻な問題となっています。
死亡率こそ癌の3分の1ですが、
寝たきりや要介護の原因として圧倒的第一位です。
脳梗塞や脳出血は長年の生活習慣に
起因する病気ですので生活習慣の改善が大切です。
歯周病ケアもその1つであることは言うまでもありません。
◇「誤嚥性肺炎」も歯周病の感染で起こる??
高齢者が肺炎で亡くなる割合が多くなるのには歯周病が大きく関係しています。
唾液や食べ物が誤って気管に入り、
気管支、肺に送られてしまうことがあります。
このとき歯周病があり、口腔内がプラークだらけで不潔な状態だと、
歯周病菌が肺に感染して誤嚥性肺炎を引き起こすのです。
肺や気管は、口から細菌が入ってこないように
嚥下反射などの生理的な反応で保護されていますが、
高齢になるとこれらの機能が衰え摂食嚥下障害が生じ、誤嚥が起きやすくなります。
したがって、高齢になるほど口の中を
清潔に保つことによる歯周病予防がより重要になります。
◇まとめ
今回は歯周病が血液を介して「全身」に
どのように悪影響を及ぼすかを上記4項目に分けてまとめました。
毎日の食後の丁寧な歯磨きの積み重ねが歯周病にかかるリスクを大幅に下げ、
今回挙げた全身疾患の予防にもつながります。
毎食後の歯磨きを怠らず健康な歯、
健康な体でいつまでも元気に過ごしていきたいですね