最近、吉永小百合さん主演の
「いのちの停車場」という映画を観ました。
2021年公開の作品だったのですが、
恥ずかしながら先日アマゾンプライムでみつけるまで全く知りませんでした。
この映画では、在宅訪問診療が取り上げられています。
残念ながら訪問歯科診療は出てきません。
しかし、映画などでもみられる様になってきたということに、
訪問診療の定着が進んできたことを感じさせられました。
さて、私が訪問診療でご自宅や高齢者施設に伺うと、
同じ様な質問を受けることがあります。
その中で、もっとも多い質問に、
『訪問診療で、衛生士による定期的な口腔ケアは受けた方がいいのか?』
というものがあります。
現在では、病院や一人で生活することが困難な方を対象とした
一部の高齢者施設では、入所者に食後の口腔ケアを
補助することは一般的になって来ています。
口腔ケアはしてもらっているのに、
さらに別料金を払ってまで歯科衛生士に口腔ケアを
してもらわないといけないのか、ということですね。
結論から言いますと、必要です。
口の中を磨いているだけじゃない!
歯科衛生士が口腔ケアをするときは、
口の中の汚れを取り除くのはもちろんです。
しかし、それだけをしているわけではありません。
口の中に注意しないといけない異常がないかをチェックしています。
訪問診療の対象となる人は、
さまざまな理由でなんらかの問題を口腔内に抱えています。
それが自覚症状として現れている人もいれば、
なんの自覚症状もない人も多くいます。
自覚症状のない代表的な病気が歯周病です。
痛みもないので徐々に歯の揺れが大きくなってきて、
ある日突然大きく揺れ出します。
そういう歯は気づいた時には手遅れで、抜歯になるケースが多いです。
また、その歯に入れ歯のバネがかかっていたりすると、
入れ歯も作り直しになります。
なかには、入れ歯で歯茎に傷ができているのに
全く痛みを訴えない高齢者もいます。
周りの介護者は、何も訴えがないので入れ歯の調子はいいと信じています。
そして、本人が痛みを訴えたときはとても大きな傷になっていたり、
ひどい時には癌になっていることもあるんです。
介護の現場は人手不足
介助対象者にとても注意を払っていて、
小さなことでもすぐに気づいてくれる人もいます。
しかし、病院も高齢者施設も人手不足が常に叫ばれています。
また異常があっても、初期症状の場合、そうだとわからないことも多いです。
いろいろな仕事と並行して口腔ケアを行うため、
どうしてもそれだけを専門に行っている衛生士の方が
お口の中をしっかり確認できます。
ただし、訪問歯科を受け入れる対応を
しないといけなくなるので、現場の負担が減るとは言い切れませんが。
最後に
インフルエンザをはじめ、
菌やウイルスは基本的には喉の奥を通って体に侵入していきます。
体の健康のために口の中を清潔にすることは、
大切なことなのでこの機会によく検討してみてください。