唾液の働きはお口に留まらず、全身にも作用しています。
からだへの働き1
感染症を予防する→唾液に含まれる抗菌物質 lgA は、細菌やウイルスがからだに侵入するのを防ぎます
唾液中に lgAが多いと、風邪やインフルエンザなど呼吸器系疾患にかかりづらいことがわかっています
肺炎予防にも、唾液の lgA の量が影響します
からだへの働き2
食道の粘膜を保護する→お口の粘膜を保護するムチンは、同じように食道の粘膜を保護します
唾液が少ないと粘膜が傷づきやすくなり、食道炎になることも
食道と胃の境目の弁を保護することで、逆流性食道炎の予防にもなっています
からだへの働き3
意の粘膜を保護する→成長因子のEGFは、粘膜の保護や修復、胃酸の抑制に関与すると考えられます
からだへの働き4
消化を助ける→唾液中の消化酵素アミラーゼが食べ物の消化を助け、胃や腸の負担を軽減します
<免疫量の指標となるlgA>
唾液中のlgAの量は、疲労やストレスにより低下します。その人の免疫力の指標となるので、アスリートの運動負荷を lgAで把握する試みがされています。唾液は簡単に採取できるのも利点です。
唾液成分の一部が血液中に再び戻り、全身をめぐることもわかってきています。成長因子のBDNF(脳由来神経栄養因子)やラクトフェリンは、舌の裏側にある舌下粘膜(唾液がたまるところ)から再吸収され脳に行き、脳の神経細胞の保護に役立っている可能性があります。唾液のはたらきは解明されていないことも、今後新たに見つかっていくでしょう。
(Nico2018.6月号を参照しました)