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根面はむし歯の進行も止まりにくい!(大人のむし歯シリーズ4)

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(参照:nico2018.3月号)

 

さらに悪いことは重なり、根面はむし歯の進行が止まりにくい場所でもあります。それは、根面の象牙質の組織組成が関係します。

歯冠部が覆うエナメル質の組成は、無機質が95-67%、有機質が3-5%。対して根面の象牙質は、無機質が65-70%、有機質が30-50%。有機質のほとんどがコラーゲンです。たんぱく質の一種であるコラーゲンは、皮膚だけでなく、骨や軟骨、血管にも存在します。

エナメル質は、六角柱状のハイドロキシアパタイトの結晶が規則正しく並んでいます。一方、象牙質は、格子状のコラーゲンを足場にして、ハイドロキシアパタイトの結晶がくっついています。

 


<エナメル質のむし歯>

飲食の酸や細菌の酸により、表層にあるハイドロキシアパタイトの結晶内の成分(リン酸やカルシウム)が溶け出す(脱灰)ことで進みます。溶け出した成分は、唾液の作用で結晶内に戻っていきますが、これには時間がかかります。

戻っていくスピードより溶け出すスピードが速い状態が長く続くと、やがて結晶の中身がスカスカになり、ついには結晶の外側がポロっと剥げ落ちて、穴になります。これが穴のあいたむし歯です。


<象牙質のむし歯>

脱灰によりハイドロキシアパタイトの結晶が壊されるのに続き、コラーゲンの層が「コラゲナーゼ」という細菌の酵素により分解されます。コラーゲンを修復する力が唾液にはありません。そのため壊れたコラーゲンの層はむき出しのまま、新たな酸にさらされることとなります。

エナメル質の約3%のハイドロキシアパタイトなら唾液の力で修復されますが、象牙質の約30%に及ぶコラーゲンには無力。これが根面の象牙質ではむし歯の進行が止まりづらい理由です。


 

次回は、根面う蝕への対策です。悪条件だからと手をこまねいてはいられません。