歯みがき剤に含まれるフッ素は、唾液に溶け込んで次のはたらきをします。
1 再石灰化を促す→お口の中では、飲食のたびに細菌がつくる酸や飲食物に含まれる酸により歯の成分が唾液中に溶け出す「脱灰」と、溶け出した成分が歯に戻っていく「再石灰化」が繰り返されます。脱灰のスピードが再石灰化のスピードを上回る期間が続くとむし歯になります。
フッ素には再石灰化のスピードを加速させるはたらきがあります。初期むし歯なら、フッ素による再石灰化の促進で改善されることがわかっています。(即効果)
2 むし歯→歯みがきで取りきれなかったプラークの中にフッ素の粒子が入り込み、細菌の活動を阻害します。むし歯菌が糖から酸をつくる力を抑えます。(即効果)
3 歯を硬くする→再石灰化の際に唾液中にフッ素が存在すると、歯を構成する結晶が硬くなり、酸に溶けにくい性質になっていきます。結晶が十分に硬くなるには、使い続けて数ヵ月から数年かかります。(積年効果)
歯みがき剤に含まれるフッ素の量が増えると、その分お口に長くたくさん残るようになり、1~3のはたらきが強化されます。
歯の咬むところ(エナメル質)のほか、いまシニア層に増えている根面(象牙質)のむし歯への予防効果も見込めます。1000ppm以上の濃度では「500ppm高くなるごとにむし歯予防効果が6%上昇する」という世界保健機関(WHO)のテクニカルリポートもあります。
1450ppmの歯みがき剤は、濃度が上がったことで、むし歯を予防する効果がアップしています。
(Nico2019.3月号を参照しました)
次は、最終回。高濃度歯みがき剤の使用方法について、説明します。