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細胞レベルで見ていよう!(口腔がんシリーズ4)

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(参照:nico2019.9月号)

 

口腔がんはお口のなかにできるがんですが、細胞レベルでいうと「扁平上皮にできるがん」が90%を占めます。残りは、結合組織からできる肉腫、血液細胞からの白血病、悪性リンパ腫です。

扁平上皮とは、結合組織(骨・筋肉・脂肪・軟骨・血管・神経など)という体内の重要な組織を覆うごく薄い層のことで、皮膚や粘膜をはじめ、体のいたるところにあります。厚さは紙1枚より薄く、バームクーヘンのように何層かに分かれた細胞集団が結合組織を作っています。

お口の粘膜の扁平上皮は、何もなくても約2週間で生まれ変わります。生まれ変わりは、まず基底膜のすぐ上にある基底細胞が分裂してはじまります。その後、基底細胞は表層に向かって移動しながら、とげ状の有棘細胞・丸い粒状の顆粒細胞・核が抜けた薄っぺらい角化層へと姿を変え、やがてははがれ落ちます。

口内炎とは、扁平上皮にできた傷の一種です。その傷を埋めようと、傷の下に位置する基底細胞が一斉に分裂をはじめます。ふつうは何事もなく分裂が終わり、傷が埋まって口内炎が治ります。この期間も、何もない時に生まれ変わる期間と同じの2週間。2週間経っても治らない口内炎が要注意なのは、このためです。

ごくまれに、分裂のときに基底細胞の遺伝子にエラーが起き、異常な細胞が生まれることがあります。その細胞は消えることなく、しかも分裂して増えていきます。これが細胞のがん化です。

ただ、実際にエラーが起こることは滅多にありません。人体には、がん細胞に対する免疫機能がありますので、簡単にはがん化しないのです。

とはいえ、傷ができて細胞分裂が何度も何度も繰り返されるほど、エラーが起こる確率が高まります。なので、繰り返し口内炎ができるような場所は要注意なのです。

 

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(参照:nico2019.9月号)