2020年7月豪雨で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、
被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
無駄な公共事業とされていた2008年当時の時流の中で、川辺川ダム建設が中止され、2020年このような災害に見舞われた球磨川流域。
この災害を経てもダム建設の賛否で割り切れぬ流域の民意があります。
災害から生命財産を守る責任は、結局のところ政治にあるのだな、とつくづく実感させられるこの頃です。
また、検証結果では、川辺川ダムがあったとしても浸水は防げない、と観測されています。
気候変動による災害の激甚化への備えは、ハードな整備だけでなく、
「あふれる」を前提とする、リアルタイムでの浸水や決壊状況の把握、それを的確に知らせるソフト面での充実も必須になってきていますね。
そういう流れにシフトしていくことになるでしょう。
日ごろから、備えることは大切です。9月1日の防災の日や、私たちの場合は2016年4月熊本地震が発生したころに、備蓄品の確認をしています。年に一度は、備えの日を設けておくことをおすすめします。
このたび、熊本県警より7月豪雨で遺体の身元確認や検視に尽力したとして、松下歯科医院院長、松下哲也先生が表彰され、そのことが2020年11月11日熊本日日新聞にて掲載されました。
身元確認に係る歯科医師の役割は、責務です。
松下先生は、強い責任感をもって協力したことと思います。
身元確認とは「生体や死体について、その身元を確認して氏名を明らかにすること、死体の一部の他に、人体由来のものおよび人体が他の物体に持越したものについて、その由来を決定すること。」と定義され、人としての尊厳が守られています。
歯科所見から検査結果を勘案し、警察が総合的な判断します。
日本歯科医師会では、これまでの事故や災害などの経験から、大規模災害などが実際に起きてから、生前の歯科記録などを集め始めるのではなく、事前にデータベース化しておくことができれば、身元確認の精度が高まり、かつ作業が迅速化されると考えています。
イメージとしては、
国民の皆さんがかかりつけ歯科医院で治療後の歯科所見(すべての歯の状態をコード化したもの)を登録。
次に歯科医院から直接、あるいは地域の歯科医師会などを通じて、データを国や都道府県、または第三者機関が運営するデータセンター(仮称)へ送信し保管する。
さらに大規模災害の発生時などにデータを抽出し個人識別のために利活用する。
といったフローが想定されています。
このようなビジョンが描かれていることを、お知らせします。
(参考)
被害軽減へ「流域治水」 越水前提、全域で予防 熊本豪雨4カ月
川辺川ダム 賛否で割り切れぬ流域の民意 豪雨経験地域・立場で濃淡